荷主にも「物流の法務」が必要になりました

物流の法律というと、運送会社が守るもの、というイメージがあると思います。

ところが実際に問題になるのは、荷主と運送会社の取引条件です。何をいくらで頼んだか。待機や荷役を誰が負担しているか。契約にない作業を頼んでいないか。値上げを求められたとき、どう話し合ったか。2026年から、こうした一つひとつに法律の目が入るようになりました。

荷主に関わる主な改正

2026年1月 取適法(旧・下請法)施行。荷主から運送事業者への運送の委託(特定運送委託)が対象に。協議に応じない一方的な代金の決定なども禁止されました。※適用は資本金や従業員数などの規模で決まります。
2026年4月 改正物流効率化法が全面施行。年間9万トン以上の特定荷主に、物流統括管理者(CLO)の選任、中長期計画の提出(2026年度は10月末まで)、定期報告などが義務化。
2026年4月 無許可の白トラと知りながら、または注意すれば分かったのに運送を頼んだ荷主にも、100万円以下の罰金。
2027年4月 改正物流特殊指定(独占禁止法)が施行予定。運送会社と直接契約していない着荷主の荷待ち・附帯作業にも規制が及びます。

「物流は運送会社に任せているから」では済まなくなった、というのが2026年の変化です。

荷主側で一度確認しておきたいこと

  • 運送会社との契約書や発注条件が、書面で明確になっているか
  • 運賃・料金の決め方に、一方的なところはないか
  • 燃料費や人件費の上昇について、協議の場を設けて記録を残しているか
  • 待機や荷役を、無償でやってもらっていないか
  • 契約にない作業を、当たり前のように頼んでいないか
  • 直前の変更ややり直しを、費用負担なしで求めていないか
  • 委託先・再委託先が運送業の許可を持っているか、確認しているか
  • 自社が特定荷主に当たるか、判定したことがあるか
  • 物流部門任せにせず、会社として取引条件を確認する仕組みがあるか

気になる項目があっても、すぐに「違法だ」と決めつける必要はありません。法律に当たるかどうかは、会社の規模や契約の内容、取引の実態を確認して初めて判断できます。

最初にやるのは、事実の整理です。誰が、誰に、何を、どんな条件で頼み、いくら払い、どんな追加作業が発生しているか。ここが分からないまま「うちは大丈夫」と判断するのが、一番危ないパターンです。

運ぶ側にいた行政書士が、荷主の取引を見る理由

行政書士になる前、28年間現場にいました。水道工事、古紙回収、危険物輸送。荷主とのやり取りも毎日のようにありました。

「ちょっと待ってて」「ついでにこれも積んどいて」「今回はこの金額で頼むよ」。現場では、こういう話が電話1本で決まります。頼む側に悪気はないし、受ける側も断りにくい。そうやって積み重なったものが、今、法律の対象になっています。

運行管理者試験(貨物)にも合格しているので、御社での荷待ちや急な発注が、運送会社のドライバーの拘束時間にどう響いているかを数字で説明できます。運送会社が言いにくいことを、先に荷主側で把握しておけるのが強みです。

確認の進め方

  1. 取引の事実を整理する(契約書、発注の仕方、現場の運用)
  2. 関係する法律を洗い出す(取適法、物流効率化法、貨物自動車運送事業法、物流特殊指定)
  3. 問題になりそうな箇所に、優先順位をつける
  4. 契約書、発注ルール、社内規程を見直す

※相手方との交渉や、違反の成否が争いになっている案件は、提携の弁護士と連携して対応します。

物流部門だけの問題にしない

運賃を決めるのは購買、契約書を見るのは法務や総務、支払うのは経理、現場を回すのは物流部門。物流の法令対応は、いくつもの部署にまたがります。特定荷主なら、CLOとして役員が責任者になります。

だから、個別の法律ごとにではなく、自社の物流取引全体でどこにリスクがあるかをまとめて整理します。

こんなご相談から始まることが多いです

  • 物流部門から相談されたが、どこを見ればいいか分からない
  • 運送会社から運賃の改定を求められた
  • 荷待ちや荷役の負担を見直したい
  • うちが特定荷主に当たるか確認したい
  • 契約書や発注の条件を一度点検したい

法律だけ見ても、現場で回らなければ意味がありません。現場だけ見ても、法律に合っていなければ会社を守れません。その両方から物流取引を確認するのが、私の物流顧問です。

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問題がなければ、そうお伝えして終わりです。

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